kiss me PRINCE!!
別に見るに堪えない顔じゃないけど。
キレイとか言われることもあるけど。
どうせお世辞だし。
レベルでいうならせいぜい中の中、調子が悪ければ中の下でしかないなんて、わかりきってるし。
そうやってひねくれてて、しかもどこから見ても完璧な親友に劣等感を抱いてるのがあたし、水野沙世。
「ね、沙世はなに作るの?」
亜美が手元を指して言った。
なんのことだろうと思って覗き込むと…
「“ハッピーハッピーバレンタイン! 絶対この恋成就させる★ 乙女のための勝負レシピ”
ああ、バレンタインね」
ファッション雑誌の、やたら長いタイトルの特集ページを開いた亜美。
その姿を、少し意外に思う。