kiss me PRINCE!!
クリスマスイブ。
あたしは亜美にメイクをしてあげた。
ツヤのある肌に、キラキラした目もと。
ピンク色のふんわりした頬。
初めて見る亜美のメイクした顔は、いつもより何倍も可愛くて。
小さな顔を包むゆるい巻き髪も、あたしがするより似合ってた。
さすがあたし、なんて思ったことを覚えてる。
それまで亜美は毎日すっぴんだった。
だからメイクした顔なんて、見たことなかったんだ。
でも、今こうして少しでもメイクしてるってことは。
亜美も、変わろうとしてるのかな。
昨日より今日、今日より明日の自分が、より可愛く、よりキレイであるために。
誰かのために、可愛くなりたいって。
あたしの中のグレーな気持ち、つまり嫉妬心が、少しだけ薄れたような気がした。