kiss me PRINCE!!
「あとは内面もだけど・・・沙世の趣味はなに?」
「料理とか、好きだけど・・・・」
似合わないのはわかってる、なんてひねくれた言葉も口にする余裕はなくなっていた。
亜美に訊かれるがままに答える。
そして恐る恐る、あたしも同じ質問を返した。
「趣味は・・・・?」
お見合いの常套句みたいだ。
そして、亜美はこれがお見合いだったら、一瞬で相手の心を鷲掴めるような笑顔で言った。
「筋トレ」
その言葉はちゃんと耳に届いた。
だけど、それが別の意味を持つ言葉なんじゃないかと思って、あたしは偽の観葉植物の葉脈を目でたどりながらしばらく考えた。
でもどんなに考えをめぐらせても、亜美の言った言葉は、筋力トレーニングの略だという結論にしか行き当らなかった。