kiss me PRINCE!!

それでも、あたしが好きなのはヒロなんだ。

色々なことをごちゃごちゃ考えてみても、変わらない事実。

村娘と王子が近所に住んでて幼馴染みなんて、おとぎ話よりも確実に有利な設定だ。

頑張るしかないっていうのはわかってる。


でも。

あたしの心を曇らせるのは、ヒロの態度だ。

亜美にばかり甘くて、亜美の話ばかりする、ヒロの気持ちだ。



「沙世は結局、なにを悩んでるの?」


亜美にそう訊かれ、あたしはとうとうすべてぶちまけた。

ヒロのここ最近の言動や、見えないその想い、そしてあたしが選ばれたお姫様じゃないなんてことも。


たぶん、支離滅裂だったと思う。

だけど亜美は頷きながら聞いてくれた。

あたしが亜美に対して持っている劣等感を話して、自分の心の汚さに落ち込んで口を閉じると、代わりに亜美が話しはじめた。


< 46 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop