kiss me PRINCE!!
それでも、あたしが好きなのはヒロなんだ。
色々なことをごちゃごちゃ考えてみても、変わらない事実。
村娘と王子が近所に住んでて幼馴染みなんて、おとぎ話よりも確実に有利な設定だ。
頑張るしかないっていうのはわかってる。
でも。
あたしの心を曇らせるのは、ヒロの態度だ。
亜美にばかり甘くて、亜美の話ばかりする、ヒロの気持ちだ。
「沙世は結局、なにを悩んでるの?」
亜美にそう訊かれ、あたしはとうとうすべてぶちまけた。
ヒロのここ最近の言動や、見えないその想い、そしてあたしが選ばれたお姫様じゃないなんてことも。
たぶん、支離滅裂だったと思う。
だけど亜美は頷きながら聞いてくれた。
あたしが亜美に対して持っている劣等感を話して、自分の心の汚さに落ち込んで口を閉じると、代わりに亜美が話しはじめた。