kiss me PRINCE!!
“それに私は、好きなものも大事なものも、いつも守れないから”
穏やかに笑っているその瞳には、悲しみがうつっていた。
そんな顔をしないでほしい。
消えてしまいそうな、儚い表情を浮かべないで。
いつだって綺麗で可愛くて、神様にだって愛されていそうな亜美に、そんな顔は似合わない。
亜美のその鍛えられた身体は、重い過去とか、現実とか、なにかはわからないけど亜美が抱えている暗いものを支えるためにあるんじゃない。
あたしでよかったら、寄りかかってよ。
すべて分け合っていくなんてことは簡単にはできない。
そんなことはわかってる。
それでも、そう思わずにはいられなかった。
だけど結局そんなことは言えなくて。
あたしはその言葉は聞こえなかったふりをして、その表情も見なかったことにした。
亜美が話してくれるまでは待とうって、そんな考えを逃げ道にして。
卑怯なあたしは、せっかく亜美が褒めてくれた事実さえも自分で穢していく。