kiss me PRINCE!!
「じゃあ、ちょっとずつでも頑張ってみる」
まずは手始めに、今の亜美の姿勢を真似てみる。
組んでいた脚を真っ直ぐに揃え、テーブルに肘をつくのをやめて背すじを伸ばす。
あたしは身長が高いのがコンプレックスで、背中を丸める癖があるから厄介だ。
でも、こうしてみるとなんだか気持もひきしまってくる。
ついでに亜美に近づけたような気にもなってくる。
あたしも単純ね。
須賀のことを単純バカなんてもう言えない。
「背中が筋肉痛になりそう」
でも、ものの三十秒で弱音を吐くあたし。
「亜美は小さい頃からずっとこんな感じだったの?」
素朴な疑問だった。
あたしは、今年の夏より前の亜美を知らない。
改めて、付き合いが浅いことを思い知る。
大切なのは一緒にいた期間じゃなくて心の距離だって、わかってるけど。