kiss me PRINCE!!
こんなに美味しそうにできたのに、あたしの心は晴れないまま。
モヤモヤした感情が渦巻いて、いくら息を吐いても奥にひっかかっていて出ていってくれない。
ココアパウダーをまぶされ、あとは食べられるのを待つだけになったトリュフを握りつぶしたくなるくらいの不快感。
いや、不快感とはなんとなく違うんだけど、うまく言い表せない微妙な想いが、あたしの心を落ち着かせまいとしてる。
ラッピング用の箱にトリュフを納めて、蓋を閉める。
あたしの心の中とは正反対の、白い箱。
その中につまった真っ黒で、重すぎる、あたしの想い。
ライムグリーンとゴールド、二本の細いリボンをかけて、ぎゅっと結ぶ。
いつまでもなにかを決心できないままの、あたしの迷いを断ち切るように。
けれど結局なにも変わらず、あたしの口からは何十回目かのため息が漏れた。