kiss me PRINCE!!
「なんだ、本命としてあげるんじゃないの。須賀もかわいそうね、その他大勢と同じもので」
あたしがそう言うと、亜美は少し照れながらあたしを睨んだ。
「そういう意味は含んでないよ」
うっわ、殺人的。
あーあ、可愛いって得。
あたしが同じことしたら、てめぇなにガンつけてんだよって絡まれるに違いない。
「はいはい、で、亜美はなに作るの?」
亜美は“ハッピーハッピーバレンタイン! 絶対この恋(以下略)”を指差しながら言った。
「クラスの子たちと女バスにはブラウニー、男バスはクッキーにしようかなって」
クラスの分は、かぶると困るから沙世とは別のものにしたいんだけど、って。
そういや、クラスの女子みんなでお菓子交換しよって話になったんだっけ。
「大丈夫。あたしガトーショコラにするから」
何も考えてなかったけど、とりあえず思い浮かんだものを言ってみた。
ガトーショコラは何回も作ったことあるし、たぶん上手く作れるはず。