kiss me PRINCE!!
「あたしも一応、本命としてあげるんじゃないのって聞いたら、違うって言ってたし」
「やっぱりそうなんだ。明日祐輝が期待に満ちた顔で学校に来たら、なんて声かければいいんだろ」
「さらに期待持たせるようなこと言って、夢見させておいてあげれば」
ヒロの、悪戯っぽく笑う横顔は、小さな頃と変わらない。
ずっとずっと、昔から見てきたその笑顔。
それをひとりじめできる“誰か”は誰なんだろう。
その“誰か”があたしである可能性は、どれくらいあるんだろう。
あたしの気持ちも知らずに、ヒロはまだ楽しそうに亜美と須賀の話をしている。
そう、あたしの気持ちも知らずに。
ヒロは無邪気そうな顔で、あたしの心の真ん中に爆弾を落とした。
「亜美ちゃんって、俺にチョコくれると思う?」
ねえ、どうしてそんなに嬉しそうな顔をするの?
「知らないわよ、そんなこと」
ねえ、あたしじゃダメなのかな。
「亜美ちゃんのチョコ欲しいなー」
ねえ、どうして。