kiss me PRINCE!!
ガンッと鈍い音がして。
「うごっ」
目の前が暗くなって星が散った。
あまりの痛みでなにも考えられなかったけれど、ひとつだけわかる。
あたしは、開けたはずのドアに顔面を強打したのだ。
「いったぁ・・・・」
額と鼻と、右頬が痛みを訴える。
ついでに首まで不安定にぐらぐら揺れる。
ゆっくりと目を開けてみる。
あたしは確かにドアを開けたのに、どうして目の前にあるドアは閉まっているのか。
そんなことを考えているうちに気がついた。
あたしの身体にヒロの腕がまわされていて・・・・つまり、抱きしめられていることに。
驚きすぎて、不自然なポーズのまま固まって動けなくなる。
おかげで痛みもどこかに吹き飛んだ。
ちなみにヒロのもう片方の手は、ドアノブを握りしめていた。
やっぱりこいつか、あたしの顔のわずかな凹凸を消滅させようとしたのは。