kiss me PRINCE!!
「は・・・離してよ」
「やだ」
「離してってば」
返事の代わりに、またヒロの腕に力がこもる。
でも、あたしだって限界だった。
あんな恥ずかしいセリフを喚いたことも。
ヒロの息遣いさえも感じるこの距離も。
「離し、てっ!」
身体を反転させて、思い切りヒロを突き飛ばした・・・・つもりだったけど、ヒロはよろけることもなく、あたしから手を離しただけだった。
向き合って、視線が絡まる。
あたしは思わず顔を背けた。
無意識に逃げ腰になったあたしの腕を、大きな手が掴む。
真剣な眼差しが突き刺さるのを感じてしまったから。
もう、振りほどくことはできなかった。
あたしは、ヒロには敵わないんだ。
いつもふざけているこいつが稀に見せる“本気”は、あたしを動けなくさせる力がある。