kiss me PRINCE!!

「俺もだよ」


もう振られることを覚悟して、ひとり思い出に浸っていたあたしの耳に、とんでもない言葉が飛びこんできた。


俺も!?


ってなに、それ。

あたしの思考回路がおかしくなければ、ヒロもあたしのことを好きだと言っているはずだ。

そう解釈して間違いないはず。

だけどあたしの脳は振られることを前提にしていたものだから、完全にフリーズしてしまっていた。



「う、うそっ!」



思わず勢いよく顔を上げると、ヒロと目が合った。

ひどく優しげな瞳の中に自分がうつっていて、それがわかるほど近くにいることを意識しはじめて、あたしはまた顔を背けた。

さっきドアに激突した衝撃をもろに受けているし、こんなに首をぶんぶん振って酷使していたら頭がおかしくなりそうだ。


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