kiss me PRINCE!!

「嘘じゃない」

「冗談でしょ?」


「嘘じゃないって」

「だから嘘はやめてよ」


「本当に、嘘じゃないから」

「本当だとしても、嘘って言ってよ!」



ついにあたしは、意味のわからないことを口走りはじめてしまった。

そんなあたしに、ヒロが呆れたように息を吐く。

ため息と言うほど重くもなく、呼吸だと思えるほど軽くもなくて。



「あのさ、結局、沙世は俺のことが嫌いなわけ?」


もう開き直って、ためらわずに首を横に振った。


「だったらどうして、嘘って言えなんて言うんだよ」


ヒロの意見は正しい。

あたしの発言がめちゃくちゃなだけで。


「だっ・・・なんで、ヒロが、あた、あたし・・・・」


舌がもつれて、口がうまくまわらない。

それでもヒロはあたしの言いたいことをちゃんとわかってくれた。


「俺、沙世が好きだよ」


< 77 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop