kiss me PRINCE!!
思いがけない共犯者A
あれから数時間経った。
混乱しすぎてあまり眠れなかったけど、朝はやって来る。
冷たく澄んだ空気を切り裂く朝日がまぶしかった。
いつもより早く目が覚めたから、家を出るのも早かった。
斜め向かいのヒロの家を見て、あいつは今なにをしてるのかな、なんて考えてみる。
胸の中で渦巻くモヤモヤした気持ちは、いつ晴れるんだろう。
こんな気持をずっと抱えたままなんて、あたしは嫌だ。
でも、ずっと想いつづけてきてやっと恋が叶ったのに、その状態に手を入れてしまうのは怖い。
実ったばかりの恋が、自分のせいで壊れてしまったらと思ったら、怖くてしかたない。
臆病で卑怯なあたしは、手に入れたヒロの隣に立つ権利を手放さないために、自分からはなにも切り出さないことにした。
こんなに自分に失望したのは初めてだ。
よく考えて出した結論が、こんなのだなんて。