kiss me PRINCE!!

「は、なんで、どうして? だってあたしまだ言ってないのに!」


あたしが軽くパニックに陥っていると、ヒロの手が肩にかかった。


「沙世、落ち着いて」


落ち着いてもなにも、あたしが今落ち着けていないのは誰のせいだ! とヒロを睨みつける。


「ちょっとヒロ、あんたが言ったわけ?」

「結論から言えばそうだけど」


あたしの態度を気にとめる様子もなく言ってのけるヒロに苛立ちがつのる。

というか、夜からずっとあたしはイライラしっぱなしだ。

自分に対して。

ヒロに対しては、モヤモヤした気持ちの方が大きいけど。


亜美だって。

なにか知ってるような顔してる。

あたしだけ知らないのに、二人だけ訳知り顔って、嫌。

どうして。


でも、そんなことは言えないから。

代わりに、見当違いな怒りをぶつけたふりをするなんて、本当にバカみたいね。

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