kiss me PRINCE!!
「とりあえず、場所変えよう」
見ようによっては、あたしと亜美がヒロを取り合っているようにも見えるはずだ。
しかも、本命は亜美、あたしは浮気相手ってところね。
同じクラスの人たちだったらそんなことないってわかるはずだけど、あたしもこれ以上こんな情けない姿を見られたくはない。
黙って頷いて、教室を出るヒロの後に続いた。
前にヒロ、後ろに亜美。
間に挟まれたあたしは、連行される容疑者の気分だ。
階段を上がって、着いたのは音楽室の前。
一年生の選択授業で音楽をとっていたあたしは、ここに来るのは一年ぶりに近い。
音楽の授業を受けていない亜美はもちろん来たことがないはずだし、美術を選択していたヒロだって同じはず。
なのに、どうしてこいつはこの音楽室の前に椅子が三つあることを知っていたんだろう。
それに腰掛けたあたしたちは、さながら三者面談のようだ。