kiss me PRINCE!!

「それで、どういうこと?」


精一杯深刻そうな顔を作って訊いてみる。

共犯者って、どういうことなのって。


「だから、亜美ちゃんには、俺の計画の共犯になってもらったってわけ」


だから、その説明がわからないんだってば。

訊きたいのはその先なのよ。

あたしが頑張って張りつけた表情を、また怒りが上塗りしかける。

それに気づいたのか、亜美が付け加えた。


「沙世との関係を、今年こそは変えたいから、手を貸してくださいってね」


今度こそ、恥ずかしさで頭が爆発した。

亜美に、冷静にそんなことを言われるのももちろん恥ずかしいし、ヒロがそんなことを亜美に言ったという事実も恥ずかしい。



羞恥死ってあるんだろうか。


ただ、例えあたしの死因が解剖の結果そう特定されたとしても、それを今、表に出すわけにはいかない。

あたしは過去、現在、未来の自分のすべての冷静さをかき集め、取り繕うことにした。

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