kiss me PRINCE!!

本当に、落ち着いたり激昂したりと、今日は感情の動きが忙しい。

今度は怒りのボルテージが一気に上がる。


「なにそれ」


今度こそ、本当に、冷めた声が出た。


「じゃあ、あたしが亜美に嫉妬して、あたしから言うのをあんたは待ってたっていうこと?」


それで、計画どおりって?

あたしが悩んでいたのも全部ヒロの予想の範疇で、あたしはその手のひらの上で転がされていたわけ?

心の中の感情をすべて、泣き喚いて吐き出したくなった。

けれど、やっぱりそれを止めたのはヒロだった。


「違う。全然違う、沙世」


こんな時だというのに、その声はあたしの耳に心地よくて、つい言おうとした言葉をのみこんでしまう。


「沙世の、亜美ちゃんへの劣等感を無くさなきゃ意味がないと思ったんだよ、俺は」


そしてその言葉は、あたしの心の中の濁りを浄化する。

隠していたのに、こんなにも的確に言い表して。

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