kiss me PRINCE!!
「俺が亜美ちゃんのことを話に出すたびに、嫌そうな顔をするのはわかってた。それが、亜美ちゃんのことが嫌いだからってわけじゃないことも」
あたしは気まずさに俯いて、表情を読まれないように顔を髪で隠した。
その気まずさが、ヒロに対してか、亜美に対するものなのか、または自分自身へのものなのかはわからない。
ただ、あたしの抱える亜美への、決していいとは言えない感情がバレてしまった。
カンのいい亜美が気づいていないはずはなかったけど、決定的になった。
綺麗な想いだけで生きていそうな亜美と比べて、あたしはどれだけ汚いんだろう。
そう考えたらとてつもなく恥ずかしかった。
自分自身を、これだけ恥じたことは今までにないくらい。
「俺は沙世が沙世だから好きなわけで、沙世の中身が亜美ちゃんだったとしたら、こんな感情は持たなかった」
それでも、やっぱり。
「だから、亜美ちゃんみたいになりたいとか、今の自分じゃ駄目だなんて思わないでほしかった」
こんなどうしようもないあたしを救ってくれるのは、ヒロなんだ。