kiss me PRINCE!!
「あたしはって、沙世以外に俺の特別がいるみたいじゃん」
きょとんとした顔をあたしの方へ向けたヒロから、すごい勢いで顔を背けてしまった。
顔を見ながらじゃ、こんな恥ずかしいことは言えない。
「だって・・・亜美のこと特別だって言ってた」
なにこの、拗ねた子どもみたいな発言!
本当にあたしが、このあたしがしたの?
自分で自分が信じられないって、こういうことだと思う。
「そんなこと言ったっけ?」
けれどヒロは残酷にも、覚えていないらしい。
まあ正確には、亜美ちゃんがくれるものは特別、だけどね。
意味に大して違いはないと思う。
「言ってた」
首をひねりながらしばらく考えた挙句に、ヒロはあっさりとあたしに言った。
「特別なのは沙世だよ」