何も知らないあなたへ
お気に入りのショートブーツを脱ぎ
そこに唯一置かれている椅子に腰を下ろす

ビニールの擦れた音だけが響く
シンとした空間の中

買ってきたビールを窓際に設置された机に並べた


プシュッと音がしたと同時に溢れだす白い泡

手首を伝い、手入れされた柔らかい腕にツーっと流れてくる


それに真っ赤な舌を這わせ
手首に向かってゆっくりと舐めあげた
目線は横に置いてある鏡に。




キーと一緒に置かれた携帯に手を伸ばし
選んだ言葉は


【はやく・・・】









< 3 / 20 >

この作品をシェア

pagetop