何も知らないあなたへ
い
ビジネスホテルのシングル
広くもない
むしろ圧迫感さえ感じる
短く細い通路を
もつれそうになりながら
ドアに向かった
ガチャっと
やたら重い音を立てる鍵を開けると
開けるより先に開いたドア
半年ぶりに直接見る顔に
緊張と喜びが入り混じる
言葉を発しようとした瞬間
何も言わず口端だけを持ち上げる顔に
心臓がピリッとした気がした。
半年ぶりの再会なのに
私の横をスッと通り過ぎ部屋の中に入っていく男
ビールの空き缶が置かれたテーブルに
自分の持ち物を置いたところで
やっとこっちを向いた
「……早くこっちに来い」
低い声がわたしを呼ぶ
「寝てんじゃねーよ」
大きな手がわたしを引き寄せる
「……やっと会えた」
居心地のいい腕がわたしをギュッと包み込む
「洋介……」
広くもない
むしろ圧迫感さえ感じる
短く細い通路を
もつれそうになりながら
ドアに向かった
ガチャっと
やたら重い音を立てる鍵を開けると
開けるより先に開いたドア
半年ぶりに直接見る顔に
緊張と喜びが入り混じる
言葉を発しようとした瞬間
何も言わず口端だけを持ち上げる顔に
心臓がピリッとした気がした。
半年ぶりの再会なのに
私の横をスッと通り過ぎ部屋の中に入っていく男
ビールの空き缶が置かれたテーブルに
自分の持ち物を置いたところで
やっとこっちを向いた
「……早くこっちに来い」
低い声がわたしを呼ぶ
「寝てんじゃねーよ」
大きな手がわたしを引き寄せる
「……やっと会えた」
居心地のいい腕がわたしをギュッと包み込む
「洋介……」