お弁当、温めましょうか。【短編】
だけど、
その子がどこの誰なのか全く知らないし、名前も知らない。
知っているのは【椎名】という苗字だけ…。
コンビ二の自動ドアが開いた。
「いらっしゃいませー」
彼女がレジに立っていた。
髪を綺麗にまとめ上げ、
可愛い笑顔を見せている。
いつものように雑誌を手に取り
適当にパラパラめくってみたけど
興味がわかない記事ばかりで
すぐさま閉じて元に戻した。
ふと彼女のほう見てみると
肉まんを取っていた。
ああ、俺ってストーカーちっく。
見てるだけで何もできない。
ヘタレなんて今どきはやんねーって。
重い足取りでお弁当コーナーに向かった。
目についた唐揚げのり弁当と
野菜ジュースを手にとってレジへ向かった。