短編■ fashion
例えばシフォン素材の薄いピンク色のチュニック。
このチュニックは去年春二週間で完売したもの。
――買う時は自分の為。
でも買ってからは、“誰かの為に着ている”と、私は勝手に解釈してる。
このチュニック。
女友達と元気にボーリングで遊ぶ時はショーパンに合わせるし、
進路について聞きたくて、知り合いの大学の先輩に会う時は少し畏まってデニムに合わせるし、
彼氏とデートする時は、キャミワンピースやペチコートにもなるスカートを重ねて、甘いワンピース風に着こなす。
そう、ほら、服を買う時は自分の好みなんだけど。
着る時には、誰かの為。
それってひどくコミュニケーション能力を見られるツールになるんじゃないかと。
あくまで仲間内の見解なんだけど。
お店に立つようになってそう感じるようになった。