短編■ fashion
そう、ファッションアドバイザーとは言え、
正直最近のお客さんはオシャレでセンスが良いので、
自分が欲しいモノは色んなお店を回って下見で決めているし、
自分の好きなモノを自分で選ぶので、店員の出る幕はあまりない。
せいぜい、試着を勧めるか、鏡の前に案内するか――くらいで。
なんとなく小学生の頃にイメージしていたのは、
“私に合ったコーディネートして下さい”とか、“私を変身させて下さい”みたいなお客さんを、
0から助けるのがお店のお姉さんの仕事なんだと思っていた。
でも自分が中高の頃お客として行く限り、お店のお姉さんに委ねるのはサイズが合っているか――くらいだった。
そう、そんな風に お客さん自身に合ったファッションを検討しながら専属でつくことは滅多にないし、
(美容師さんに“お任せで”と言うくらい稀)、
お客さんも、そこまで店員をあまり求めていない。だってセンスが良いもん。本当、逆に参考にしてる。
お店によるのだけれど、薄利多売の商戦ではそんな風に思う。
だから私たちは“雰囲気”の接客。
マニュアルがあっても個人個人で違うから、会話の中で服の趣味を検討して可愛くなるお手伝いをする。