I will you...
意識:瑞稀
それは、歩が彼女出来た宣言をする数日前の朝。
私はいつも通り、目覚まし時計の甲高い音に起こされた。
『う~・・・。うるさぃ・・・。』
『うるさいじゃねぇよ。早く起きろ、瑞稀。』
いきなり低い声が聞こえて、飛び起きた。
『あ、歩!勝手に入ってこないでよね!!』
『だって目覚ましの音は止まったのに、下りてこねぇんだもん。』
『もう!早く出てってよ!着替えなくちゃいけないんだから!』
そう言って、部屋から歩を押し出す。
『わかったよ。下で待ってるからな~』
歩はそう言うと階段を下りていった。
『・・・もう、やめてよ。』
毎日起きることだけど、私にとってはとても大切なことで・・・。
『早く着替えちゃお!』
私は制服に着替えた。
着替え終わって、階段を下りれば・・・。
『ワンワンッ!!』
『おらおら、こっちだぞ!小十郎!!』
我が家の愛犬、小十郎と遊ぶ歩。
『歩・・・。なにしてんの?』
私が声をかけると、歩は振り返り。
『瑞稀が遅ぇから、小十郎と遊んでたんだよ。なっ?』
そう言って、小十郎に聞くと小十郎は『ワンッ』っと返事をする。
『ほら、早く行こうよ!』
『わかった、わかった。じゃあな、小十郎。』
『ワンッワンワンッ!』
私と歩は玄関を出た。