I will you...
『なぁ、瑞稀。』
『なに?歩。』
いつも一緒に登校している歩と私。
『俺さ~、今気になる先輩がいるんだ。』
『気になる先輩?』
時々、歩の恋愛相談が出る時もある。
『あぁ。でもさ、先輩だから会う機会もあんまりねぇじゃん。』
『まぁ、そうだけど・・・。』
『はあぁ~・・・。』
“歩をこんなに悩ませてる先輩になりたい”と思う自分がいる。
『その先輩とは面識あるの?』
『ん?まぁな。1回先輩の方から会いに来てくれたことがあったんだ。』
『へぇ~、どんな用件で?』
『歩君って、君のこと?って。』
歩はどちらかと言うとカッコいい方だと思う。
優しいし、頼りになるし、スポーツ万能。
先輩の間でも取り上げられる人材であること。
『じゃあ、自分から会いに行ってみればいいじゃん。』
『俺もそうしたいけどさぁ~・・・。』
私にしか見せないこんな歩が好き。
幼馴染みは特別な位置でもあるんだ。
『そんなんじゃダメじゃん。ちゃんとアタックしなよ~』
だから、応援したくなる。
本心じゃないくせに、応援しちゃう。
『・・・そんな瑞稀には好きな奴、いねぇの?』
『っえ・・・。』
突然の質問に思わず足が止まる。
『・・・いるにはいるけど。』
『へぇ~、どんな奴?』
歩は私の気持ちに気付いてない。
『歩みたいな人。』
『俺みたいな人?なんだそれ!』
そう言ってみれば、歩は笑顔で返してくれるんだ。
この笑顔が私の救いでもあった。
『歩く~ん!!!』
後ろから誰かが歩むを呼んだ。
振り返ると歩はすぐ呼んだ人の方へ走っていった。
『詩織先輩!どうしたんスか?』
『ううん。ただ歩君が前を歩いてから、話しかけてみたの。』
歩はすごく嬉しそうな顔をしていた。
私はその光景を見ていることしかできない。
『・・・あれ?もしかして、瑞稀ちゃんと登校中だった?』
『あ、はい。瑞稀とは毎日一緒に来ているんで。』
その詩織先輩は私のことを知っていた。
『歩っ』
『ん?どうした?瑞稀。』
『先に行ってるから、教室でね。』
『おぉ、わかった。』
私は1人、学校に向かった。