一匹狼にご注意を
「喧嘩……で…負けた…」
男の子は顔上げ、まっすぐな瞳で小学時代のあたしに言った。
「大丈夫なの?喧嘩(けんか)って…怪我(けが)してないの…?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
「いいえ。えへへ」
あたし…小学の頃あんなに幼い顔だったっけ?
「そうだ…俺と友達になろ?」
「あたしでよかったら!」
『あの男の子……だれだろ…』
「俺は………だから!」
名前がちゃんと聞き取れなかった…
「あたしは渡辺李乃(わたなべりの)だよ!よろしくね!」
「ん………」
「夢…かぁ…。だれだったんだろ…」