ボクの田舎に宇宙人
「あかんわ。山岸久治、今日も遅刻だ。」
クラス委員長の青年は、半分呆れたように呟きながら、バタンと音を立てて日誌を閉じた。
「ヒサジが遅刻すんのなんてー、今に始まった事じゃなかよー?」
「ああ、そら知っとるわ‥。知っとるからこそ心配しとんのや!」
委員長はガシガシと頭を掻いて眉間にしわを寄せた。
「どーいう事ー?」
その様子を眺めていた紗耶子はのんびりと質問を返す。
「小学校、中学校は義務教育だからええねんけど‥、高校からは余り不真面目しとると進級できんくなるんや。」
「ヒサジは微妙に生マジメなとこあるかんなぁー。平気なんと違う?」
「平気じゃないから俺が心配しとんねん。遅刻は則ち欠科!」
結果は則ち‥!
委員長がそう続けようとした時、教室のドアがガラリと開いた。
「あっ、ヒサジが来たわ〜!今ちょうどアンタの噂しとってん。」
「おはよ。噂は興味無いなァ。」
「久治!お前はまたフラフラと朝の散歩なんかしよって!」
「あれ‥何で分かるの。」
「制服とマフラーに葉っぱがくっついとるわ!」
「ゲッ、マジだ。」
この田舎の生徒数の少ない学校において、
山岸久治の二時間目登校癖は周知の事実であった。