ヌードなアタシ

朝、登校すると
アタシの机の上に長方形の箱。


奈緒と卓己くんが話をしている。

今日はやけに早い。


『おはよーこまちちゃん!見て見てっ』


 
奈緒の、はち切れんばかりの笑顔。


『2人とも早いね…おはよう…』


『これ卓己くんが持ってきたんだよ』


奈緒は両手で箱をもち
アタシに手渡す。

アタシは箱を開けた…



『…?これ、なに?』


木製の…丸っこい笛?
穴があいてる。



『オカリナ。
指使いは、リコーダーとほぼ一緒。
簡単だぜ、横向きに持つの。

優しい音色なんだ。
こっちの方がイイかなってさ…』


『こう持つの…
指で全部ふさげば…ドの音。
ひとつずつ、あけていくと…
レ・ミ・ファ…ねっ』


奈緒が持って、指で押さえてみせる。


『はい、吹いてごらん』


渡されたオカリナは
小さくて軽い…

奈緒のしたように真似てみる。


ポーッ


素朴で暖かみのある
かわいい音がした。
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