ヌードなアタシ

奈緒を見送った後
1時間のレッスンを終えて事務所に寄る。

社長さんから
毎日顔を出す様に言われていた。



『こんにちは〜』


事務所に入ると壁一面に
大きなホワイトボードがあり
1ヶ月のモデルのスケジュールが
書き込まれていた。

横の欄には同行の担当者名と時間。

その下の細長いテーブルには
それぞれのモデルの作品…
雑誌やポスターチラシが置かれている。



『おう、お疲れさん!』



今日は珍しく社長さんがいる。

社長といっても
テレビとかに出てくるような
威厳のある気難しそうな感じではなく

髪の毛はリーゼント(白髪まじり)に
テロテロ生地のスタジャンとGパン。

社長いわく【俺流】のこだわり。


ジャンバーの裏側には
派手な刺繍なんかがあって
レアもので高級品だと自慢していた。


今日のもまた…
一段と派手な色合い。



『こまち、どうだ?
上手く歩けるようになったか?』



社長はキーボードを叩く指を止めて
ディスプレイ画面の横から顔を出し
アタシを見た。

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