ヌードなアタシ

アタシは制服とローファーの姿で
左手に持ったスクールバックを肩にのせ
右手は腰の付け根におく。

頭は固定、
足をクロスさせるように腰を揺らし
デスクとデスクの間をすり抜ける様に歩く。



『おぉ‼
サマになってきたじゃない…優秀、優秀』



黒革袖付きのキャスター椅子にもたれ
腕を組んだ社長が満足げに笑う。



『ん〜どうしょうかな…長沢さーん、
ローズ化粧品のロケどうしょうか…
こまちで入れちゃう?』



アタシは後ろを振り返り
お茶を入れてる長沢さんを見た。

長沢さんは、アタシをスカウトしたひと。

年齢は社長よりも
ずっと年上の50代位の女性。


落ち着いたベージュの
カーディガンニットの上下を着て
グレーがかった髪を
後ろで、ぴっちりとまとめている。


茶色のパンプスをコツコツと鳴らし
こちらに向かってくる。

長沢さんはマグカップに注いだ紅茶の
ひとつをアタシに手渡し

もうひとつを社長の机の上に置く。



『そうですね…
私は志穂にするのかと思っていましたが…
社長がそうおっしゃるのなら
よろしいのではないでしょうか』



『よし、そうする、先方と連絡取って!
OKなら、これから伺うと伝えてくれ…』


長沢さんはデスクに戻り受話器を持つ。

社長は…アタシを手招いた。




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