ヌードなアタシ
相変わらず
風は強く吹いていた。
『さて、わたしたちは
もうひと仕事…
こまち、気をつけて帰んのよ』
『瞬、こまちちゃん送ってな。
あ、大事な姫に
手ぇ出すんじゃねーぞ』
『あら、瞬くんなら大歓迎よ』
『駄目だ!
オレの可愛いこまちちゃんを
ケダモノの毒牙にかけてたまるか』
『ケダモノって…
兄さんじゃないんだから』
あはは…
間違いなく、大介さんの方が危険。
『いいから!ほら、さっさと事務所に戻るわよ。
急いで残りやっちゃわないと』
けいちゃんは、
ブツブツ言う大介さんの背中を押して
スタジオへ戻る。
『家はどのあたり?』
ジャンバーのポケットに両手を突込み
覗き込むように、アタシを見る。
『すぐ近くなの。だから送らなくても平気だよ』
『寂しいこと言わないでよ。
女の子と歩く機会なんて
そう、なかなか、無いんだから…』
強い風に吹かれて
片目を細めながら
瞬くんは、アタシの返事を待っていた。