ヌードなアタシ

瞬くんは丁寧に包み紙を開けた。
シルバーの細身の万年筆を手に持った。


『あ…万年筆。すけー…
俺、持ってなくて
欲しいなぁって思ってたんだ!
でも…こんな高そうなの、いいのかな』


不安げにアタシを見た。


『そんな高くないから安心して。
インクはカートリッチで
使いやすいって店員さんが言ってた』


『ほんと?
…ありがとう、大事に使うから。
マジメに、すげーうれしい。ありがとう』


瞬くんの嬉しそうな顔を見てると
アタシの顔もほころんでくる…


『今日、会えると思ってなかったから
明日、学校で渡そうと思ってたの…
学校祭に来てくれるって言ってたから』


『うん、明日行くよ。
こまちちゃんの演奏見に行かないとね』


『もう、バッチリなんだよ。
アタシは小学生並みだけど
奈緒と卓己くんは、もう、凄いの』


『へぇ〜楽しみだね』



『よぉし!OK!おしまいっ』


大介さんの大きな声に
アタシ達は2人を振り返る。


『おっ!そこのお2人さん
美味そうなモン食ってんじゃん!
こまちちゃーん、俺も食べたいっ』


『うん!さくらんぼ凄く甘いの。
大介さんとケイちゃんの分
今、持ってくるから…』



それから…また話が弾み
結局2人が帰ったのは
12時をちょっと過ぎた頃だった。
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