ヌードなアタシ
奈緒は卓己くんの言葉で
わぁっ…と声を出して泣き出す。
『やってらんねぇ…』
卓己くんは嫌悪と軽蔑の表情を浮かべ
吐き出すように言った。
『俺が…悪い…』
瞬くんが低く小さな声でつぶやいた。
『そりゃ、そうだ。
…あんた、最低だ』
卓己くんは冷たく言い放ち
アタシのそばに歩み寄る。
『桜木…大丈夫か?』
卓己くんが肩に手をのせる…
同時にアタシの目から
涙が流れ落ちた。
周りの雑踏も
学校祭の色鮮やかな飾りの色彩も
何も感じない…
音のない白黒の世界に
いるようで。
思考は停止していて
奈緒のすすり泣く泣き声だけが
鮮明に耳から離れない…
アタシは耳をおさえ、うずくまる。
『…やめて』
叫んだつもりだったけど
実際出た声は、弱々しくかすれ
声にならなかった。