ヌードなアタシ

瞬くんの
昨日の優しい眼差しも
さっきの笑顔も
全部、嘘…


馬鹿みたい…
一人で浮かれて。



瞬くんのこと大好きなのに
奈緒のことも…大好きなのに

2人にとって
アタシ邪魔な存在だったんだ…


涙は…
あとから、あとから溢れてく


悲しくて
惨めで
辛くって


アタシは…その場に
うずくまって泣いた。



『…桜木?』

ドアの向こうで
卓己くんの声がした。


『入るぞ…』


ドアの開く音。
足音が近づいてくる。


『屋上に行こう…
クラスの奴ら来たら、面倒だし』


卓己くんは、うずくまったアタシをかかえ
その場に立たせた。


手をひかれ廊下を歩く…

泣き顔を見られたくなくて
アタシは、うつむいたまま
反対の腕で顔を隠して泣く。


屋上に着いて
塀に寄りかかるように2人並んで座る。

卓己くんは何にも言わず
ただ隣に座っていた。







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