ヌードなアタシ

奈緒の泣き顔と
瞬くんの動揺した顔が浮かぶ…



『奈緒…泣いてるのかな。
きっと、瞬くん
奈緒と一緒にいるよね…』



やっとおさまった涙が
また溢れてくる。



『瞬くんのコト…好きなのに…
奈緒のコトも、好きなのに…』


嗚咽が止まらない…
うまく呼吸が出来ない。
息がはき出せない。



『うっ…う…』



瞬くんはアタシの頭を
そっと優しく撫でた。



『奈緒も松本さんも
桜木が、こうやって泣くの承知で
会うようになったんだろ。

…辛いだろうけど、忘れろ。
もう戻れないんだ、お互いに…』



『うぅ…わかるよ、
…わかるけど、胸が…痛いんだもん
痛くて、息が出来ない…
つらいよ…2人とも、ひどいよ…』



にぎやかな音楽が遠くで聞こえる

アタシは、声を出して泣く。

卓己くんは、アタシが泣きやむまで
黙ってそばにいてくれた。
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