ヌードなアタシ
教室に戻った頃には
縁日の後片付けも終わり
殆どの生徒は帰った後だった。
奈緒のバッグも、無かった。
教室を出ると
卓己くんが廊下で待っていた。
『奈緒帰ってた?』
『…うん、バッグなかった』
『だろうな…』
ガランとした廊下を歩く。
『卓己くん…』
『ん…?』
『ありがとう…』
『なんだよ、改まって。
ま、あれだ…
愚痴ぐらいなら、
いつでも付き合ってやる』
『…うん。』
大事なモノ…いっぺんに
全部無くなったと思った。
ちがう…
空っぽになった訳じゃなかった。
卓己くんがいてくれて
アタシ…すごく救われてる。
独りぼっちだったらって思うと
不安と寂しさで
きっと、また外の世界を全て遮断してしまったかもしれない。
…幼い頃のアタシのように。
今は、すごく辛いけど
逃げ出したいくらい苦しいけど
もう、殻に閉じこもったりしない。
『一緒にいてくれて
本当に…ありがとう』
少し前を歩いている卓己くんに
聞こえないくらい
小さな小さな声でつぶやいた。