ヌードなアタシ

アタシは頭からタオルをかぶり
バスルームを出て部屋に戻った。


『こまち?入るよ』


氷嚢を持ったケイちゃんが
ドアの前に立っていた。


『いったいどうしちゃったの…』


アタシに氷嚢を手渡し
心配そうに見つめる。


『ん……。』


アタシは
タオルに包んだ氷嚢を目に当てる。


『瞬くんと付き合う事になって…
奈緒と卓己くんに瞬くん会わせたら
瞬くんと奈緒付き合いだしたみたいで
…アタシフラれちゃった』


涙は出なかった。

スラスラと自分の状況を
口に出してみて改めて

あぁ…そうか
瞬くんはアタシでなく
奈緒を選んだんだ…と実感する。



『…それだけ。

いっぱい泣いたから、もう泣かない。
これ以上泣いたら
明日のオーでション受けれなくなって
事務所に迷惑かけちゃうから…』



ケイちゃんに聞いて欲しいけど
もし、今、話したら
アタシは気持ちを抑えきれずに
また泣いてしまう。

駄目。

今日は何も考えない…

顔を冷やして
元の状態に治す事だけ考えないと…

ケイちゃんに話すのは全部終ってから。

アタシの気持ちも整理されてから。


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