ヌードなアタシ

『知ってたんですか?』



『…いいえ。
わざわざ化粧落とさせるとは
思って無かったわ。

化粧品のCMモデルよ。
面接に同行してるのはトップレベルの
メイクアップアーティスト。

品定めするのに
ヘタなメイクはかえって邪魔だわ。

どんなイメージでモデルを作品にするか
素顔を見せた方が先方に親切でしょ?

私のモデル時代にも
こういう事はあったから…』



長沢さんは書類から目を離し
アタシを見た。



『こまちちゃんは
どんな時に化粧しようと思うのかしら?』



『えっ?
どんな時って…』



アタシ普段は、お化粧しない…
写真撮りの時くらいかな。

仕事の時はメイクさんに
キレイにして貰って…

…そう
キレイになりたいとき
お化粧するんだ…



『アタシは…
アタシを振った事、後悔するくらいに
いい女になりたい。
綺麗になりたい』



『うふふ…
そうね、綺麗になりたい
そう思うから女性はお化粧するわ。

もう、ずぅっと昔から…
女性は愛する男性に見つめて貰いたい
愛して貰いたい
そう思って口紅を引いたのよ。

今の時代も同じね…

こまちちゃんは
そんな女性の気持ちを代弁するの。
それがモデルの仕事なのよ』




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