ヌードなアタシ

アタシに声を掛けられ
奈緒は、またビクリと動いた。

少しの沈黙の後
ゆっくりと後ろを振り返る。




アタシの全身は凍り付いた…



奈緒が向けたその目は
憎しみで充血し
鬼の様な形相でアタシを睨みつける。


『な…お…』


喉の奥を握り潰されたように
声も息も詰まったみたいに苦しい。

激しい怒りと憎しみの思いが
アタシに向けられていた。


『こまちちゃんなんか
いなくなればいいのに…』


背中にゾクッと冷たいモノが走る。

真っ赤な顔で怒りを露わにし
呪いの言葉を吐き出した途端
奈緒の目からは
涙がポタポタ流れ落ちた。


アタシは立ち上がり
奈緒の腕をつかみ強く引き上げた。



『奈緒が具合悪いみたい…
保健室に連れて行くから
先生に言っといてくれる?』


隣の席の子に言付けを頼み
奈緒をかかえて教室を出た。

奈緒は抵抗するでもなく
アタシに引っ張られるまま大人しくしていた。


保健室には行かず
屋上へと続く階段を昇る。

重い鉄のドアをぎこちなく片手で開けて
屋根のかかっている
用具入れの壁づたいに2人並んだ。

雨は相変わらず激しく降っている。

ひんやりとした微かな風が
動転しているアタシの心を落ち着かせた。

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