ヌードなアタシ

結局それから
奈緒とは何も話さず
彼女は無言のまま、その場を離れて
保健室へ行った。

アタシはそれを見届けてから
教室に戻った。



移動教室での授業が終わって戻ると
奈緒のカバンが無くなっていた。

体調がすぐれず早退したと
ホームルームで担任から聞いた。


帰り支度をする。
卓己くんが教室に入ってきた。

今朝の出来事を話す。


『なんだぁそれ?
何あいつ逆ギレしてんだ?』


『だよね?
ふつう、アタシが怒り狂う状況でしょ?』


『…たぶん、な。
俺、女じゃねーから、わかんねぇけど』


『女のアタシも、さっぱりよ』


『で…桜木はどーすんの?これから』


奈緒の机に腰掛け
足をぶらつかせながら
卓己くんはアタシを見ている。


『これから、事務所に寄るよ』


教科書をバックに詰め込みチャックをかけた。


『なに、ボケた事いってんのさ…』


ガクッと体を傾け笑う。


『彼氏の事でしょーが』

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