ヌードなアタシ

待って!…後方から瞬くんの声がした。

でも…
立ち止まらず走るしかなかった。



もういいよ…
アタシの関わらない所で
2人仲良く楽しく過ごせばいいんだ。

今までそうしていたんだし
これからだって、そうすればいい。


アタシは、もう会わないって言った。
だから堂々と付き合えばいいじゃない。



それなのに、瞬くんは
裏切られて打ちのめされたような
悲しい目でアタシを見てた。

逆じゃない!
裏切られて打ちのめされたのはアタシ。


奈緒の激しい怒りと怨みの目が
脳裏をよぎる。

アタシが悪いみたいに…


なんで…二人して
あんな目でアタシをみるのよ。


可哀想なのは
アタシなんだってば!


涙で滲む目を手の甲でぬぐい
停留場に滑り込むバスに駆け乗った。


バックの中の携帯が
マナーモードのままブーンブーンと唸る。

瞬くんからの着信。

しばらく鳴って切れた。


奈緒から貰ったストラップが
キラキラと光る…

アタシはそれを携帯から外し
バッグのポケットの中にしまう。


以前のように
シンプルで殺風景な携帯は
その後、着信を知らせることは無かった。




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