ヌードなアタシ

今日は一度、事務所に寄って
衣装用のブレザーの制服に着替え
近くのスタジオに入る。

通信教育の教材用ポスター撮影らしい。


バスの中で手帳をチェックする。
今日の同行も長沢さん。


予定では2カットだから
撮影時間も1〜2時間くらいかな、
そんなに長くはかからないだろう。


ウォーキング教室は
今日は休み。

仕事が入った日はよほど急でない限り
次の日に延ばして貰っていた。



手帳を閉じてバックにしまう。



窓の外は真っ青な空
強い日差しが降り注ぐ。

もう…夏なんだなぁ

雨の時季、
水分と栄養を吸い上げた木々の緑は
より濃く鮮やかに夏の訪れを知らせる。


バスを降りて歩き出す。

コンクリートに熱せられたぬるい風が
走り去る車の勢いで巻き上げられる。


目を細めて風をやり過ごし

アタシは事務所に向かった。




ドアを開けた途端
唸るような低い社長の声。


『こまちぃぃぃ』


驚いて社長を捜す。

……いた。
応接ソファーに座ってアタシを見ている。


隣には
…なんで?

ケイちゃんが座っていた。

< 234 / 346 >

この作品をシェア

pagetop