ヌードなアタシ
『よしっ、こまち!でかしたぞ』
ソファに歩み寄ると、ケイちゃんが微笑む。
『おめどとう…』
『…そうなんだ、連絡あってな
オーディションの結果こまちに決まったぞ』
社長は嬉しそうに笑う。
『契約には親御さんの了承が必要だし
桜木さんにお越し頂いてたところだ。
今週末には撮影に入るらしいから
忙しくなるぜ』
『あの…アタシにですか…?』
『そう、あなたに。
打合せには私が行きます。
こまちちゃんは学校があるものね。
私がしっかりフォローするわ、大丈夫よ』
長沢さんがデスクからやって来て
アタシの肩をポンとたたく。
『頑張りましょうね』
じわじわと現実味をおびてくる。
想像がつかないCMという未知の世界。
大きく仕事が前進する期待感と
後戻り出来ない不安が混ざり合う。
複雑な心境。
『なんだぁ…
あんまり嬉しそうじゃねえなぁ。
ビビっちまった?』
『いいえ!嬉しいです。
それに…ビビってなんかいません。
これは、きっと…武者震いです。』