ヌードなアタシ

『はははっ、そりゃいい!
まぁ、突っ立ってないで座ったらどうだ?』


社長はソファーの横にずれて
隣を空けた。


『それが…こまちちゃん、
これからポスター撮りが入ってます。
話は、撮影後ということで…』


長沢さんは、腕時計をチラッと見てから
社長に視線を向ける。



『売れっ子は忙しいなぁ』


社長は間が抜けたように語尾をのばして
首をすくめて見せた。

アタシは長沢さんに促され
衣装用のブレザーとスカートを抱えて
着替えに出る。

着替え終わり、そのまま事務所を出て
スタジオにむかった。



『社長、特別ボーナス出すって
奮発するって言ってたわよ、良かったね』


『ホントですかぁ?
期待しちゃうな…』


『でも…』

長沢さんは少し歩調を緩めて
眉をひそめた。


『先方は、こまちちゃんの髪を
ショートボブにしたいって言ってきてるのよ
オマケ付きなの』


『…かまいませんよ』


『だって…アゴのラインよ。
もったいないわ。
また、腰まで綺麗に伸ばすとなれは
5年くらいかかるわよね…』


ため息混じりにつぶやき
また歩調を早めて歩き出す。


『この件は、あとで社長と話し合いましょ。
私は同意しかねるの。
もう少しロングのままで、仕事取りたいわ』

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