ヌードなアタシ
撮影を終えて事務所に戻ると
ケイちゃんの姿は、もう無く
社長も見あたらなかった。
ソファーに座り
ホワイトボードの予定表を見る。
アタシのCM撮影の予定が
早速書き込まれていた。
『時間もう少し大丈夫?
社長に来客あって、今応接間にいるのよ。
まもなく終わると思うんだけど…』
長沢さんが麦茶を差し出す。
『はい、大丈夫です。
わぁ、喉が渇いてました…
ありがとうございます』
キンと冷えた麦茶を一気に飲みほし
クラスを置く。
ほぼ同時に
応接間のドアが開いて
若い男性が出てきた。
きっちりとスーツを着て
オーバーなくらい律儀な仕草で挨拶をして事務所を出て行った。
長沢さんはアタシを呼び
一緒に応接間にむかった。
『おう、お疲れさん』
社長はゴソゴソとポケットをまさぐり
煙草を取りだし火を付ける。
『こまちよぅ、お願いがあるんだけど…
直接電話して髪を切らずに出来ないかって
頼んでみたんだけど
がっちりコンセプト打ち出してきやがって
キビシイのよ…』
社長は、すまなそうに言って
眉間にシワを寄せ煙草を深く吸った。
『CMの撮影ですよね?
いいですよ…切っても。
お仕事ですから』