ヌードなアタシ

卓己くんのキレイな二重の目が
じっとアタシの髪を見る。


『しっかし、思い切ったモンだな…』


学祭前は練習と打合せを兼ねて
お昼は3人で校庭で食べていた。

その後も、なんとなく
お昼になると、アタシは校庭で
お弁当をひろげる。

卓己くんも。


『撮影の依頼側の意向だよ。
切るのが条件だったんだもん…』


『コマーシャルって…すげぇな。
桜木、芸能人になるのか?』


『ならないよ。
アタシは医大に行って医師になるの。
親はあてに出来ないし、学費稼ぎ』


『でもよぉ、テレビだぜ?いーよなぁ…
俺もミュージシャンになりてぇ』


『…ん、ガンバ!
少年よ大志を抱け
ボーイズ・ビー・アンビシャス』


『でもよ…
大志ばかり抱いちゃいられねーし
そろそろ期末テストの準備しねぇと。

奈緒のヤツ、
テストどーするつもりなんだろう』


『テストは受けるでしょ…
いくらなんでも』


『なら、いいんだけどな…』



あとの会話は途切れ
黙ったままお弁当を食べた。

結局いつも、最後は奈緒の話になり
二人は、ため息をついて
黙ってしまうのだった。


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