ヌードなアタシ

『ふーん…』


卓己くんは、食べ終えたカラの弁当箱を
巾着袋に入れてアタシを見た。


『ま、なんだかんだ言ってたけど
奈緒は桜木に謝ったんだろ?
…で、どーすんの?』


『え…?どーするって、なに?』


ブドウを右手で1つ摘んで口に入れ
左手に持ったタッパを差し出す。

卓己くんも1つ摘み口に持って行く。


『奈緒、謝ったんだろ…
許すの?許さないの?』


『…………。』


ブドウを、また1つ摘む。


『こーゆー時って
普通どうするの?許すもんなの?』


卓己くんも、また1つ摘む。


『しらね…俺、男だし。
そんな修羅場の経験ねーもん』


摘んだブドウをじっと見る。


『もし、卓己くんがアタシだったら
どうすると思う?』


卓己くんも、摘んだブドウを
じっと見た。


『ウジウジ、ネチネチはヤダよな、
かっこわりぃもん。
一発殴って後腐れ無し!これだな』


眺めていたブドウを口に放り込む。


『…ひと昔前の、青春映画じゃない。
かなり引くんですけど』


アタシは笑って
食べ終えたお弁当箱をナプキンで包んだ。



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