ヌードなアタシ

事務所のドアをあける。
社長は見あたらず、長沢さんは電話中。

中へ進み、いつものように
ホワイトボードをチェックした。


取材…?

アタシのスケジュールに取材という文字。
よく耳にする雑誌の名前が書かれてあった。


手帳に書き込んでいると
背後からポンと肩をたたかれた。

振り向くと、電話を終えた長沢さんが
にこやかに微笑んでいる。


『早くも反響あり、取材も入ったわ。
名前、学校名、年齢も…
その辺りの素性NGでもいいから
取材したいって。写真OKで受けたから』


『…はい』


『CM見るわよね?』


『もちろん!見ます』


長沢さんはリモコンを手に取り
ソファー横に置かれたTVにむかって
スイッチを入れた。

真っ黒な画面が
パッと明るくなり森が映し出される。




森に流れる浅い小川
淡く揺れる光。

裸足で水に浸かったまま

白い木綿のワンピースをたくし上げて
アタシは笑っていた。

まるで、その視線の先に
恋する誰かが見つめ返しているかのように。


【恋する素肌】
ナレーションが入り
画面はアップに切り替わる。

少し伏し目がちにはにかみ、横を向くアタシ。

商品が映し出され、画像は終わった。
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